第12章 電圧降下
電線にも抵抗があるので、電気を送ると電圧が下がります。配電方式ごとの式を、毎回出る計算として身につけます。
1. なぜ電圧が下がるの?
電線そのものにも抵抗があります。電流が流れると、その抵抗で電圧が消費され、送り出した電圧より負荷に届く電圧が低くなります。これが電圧降下です。
例:105Vで送り出しても、電線で5V下がれば負荷には100Vしか届かない。
電線が長い・細い・電流が大きいほど電圧降下は大きくなります。
2. 配電方式ごとの電圧降下の式
電線1本の抵抗を r、線電流を I とすると、電圧降下 v は方式ごとに決まっています。
・単相2線式: v = 2 r I
・単相3線式: v = r I (1線あたり・平衡時)
・三相3線式: v = √3 r I
係数が『2・1・√3』と変わるのがポイント。単2は行き帰り2本ぶんで2倍、三相は√3、とセットで暗記します。
3. 電線抵抗の出し方
問題では電線抵抗が『1000mあたり○Ω』のような形で与えられることが多いです。
例:5Ω/km の電線を 200m 使う
→ 1m あたり 5 ÷ 1000 = 0.005Ω
→ 200m なら 0.005 × 200 = 1Ω
この『長さに比例して抵抗を出す』一手間を忘れると答えがズレます。先に r を確定させてから電圧降下の式に入れましょう。
4. 例題で通して解く
単相2線式、電線1本の抵抗0.2Ω、電流10A。
電圧降下は?
v = 2 r I = 2 × 0.2 × 10 = 4V
送電端が105Vなら、負荷には 105 − 4 = 101Vが届く、と続けて問われることもあります。
『方式の係数 → r → I の順に入れる』だけ。手順を固定すれば確実に取れます。
5. ここでつまずく
電圧降下の最大の罠は『方式ごとの係数』の取り違えです。
・単相2線式: v = 2 r I(行き帰り2本ぶん → 2)
・単相3線式: v = r I(中性線が0Aなので外線1本ぶん)
・三相3線式: v = √3 r I(三相だから √3)
丸暗記より“なぜその数字か”。単2は電線を行って帰るから2倍、三相は三相だから√3——理由で覚えると本番で迷いません。
もう一つの定番ミスが、電線抵抗の単位。『◯Ω/km』『◯Ω/1000m』で来たら、必ず使う長さ(m)に換算して r を確定してから式に入れる。係数と r、この2点を外さなければ確実です。
6. 現場のひとこと
電圧降下は、現場の『末端で機器が元気に動かない』の正体です。
配線が長い・細い・電流が大きいほど電圧が落ち、末端のモーターが力不足になったり、照明が暗くなったりします。だから内線規程では電圧降下を数%以内に収めるよう求められ、長い配線にはわざと太い電線を選びます。
第4章の R=ρL/A(長さは敵・太さは味方)とここで完全につながります。『なぜこの現場は太い線なのか』を説明できると、ただの計算が“設計の判断”に変わります。
POINT
7. ここだけは覚える
・電圧降下は電線抵抗のせい。長い・細い・大電流で増える
・単2:v=2rI / 単3:v=rI / 三相:v=√3rI
・係数は『2・1・√3』
・電線抵抗は長さに比例(km値→m換算を忘れない)
次は確認問題です。