第13章 電力損失
電線の抵抗は電圧を下げるだけでなく、熱になって電力をムダにします。これが電力損失(線路損失)です。
1. 電力損失とは
電線にも抵抗があるので、電流が流れるとジュール熱(第6章)が発生します。この熱として捨てられる電力が『電力損失』(線路損失)です。
送った電気の一部が、負荷に届く前に電線で熱に変わってムダになる、というイメージ。電力会社も設備設計もこの損失をいかに減らすかがテーマになります。
2. 電力損失の式
基本はジュールの法則と同じ『I²R』。電線1本の抵抗を r とすると、配電方式ごとに:
・単相2線式: p = 2 I² r
・単相3線式: p = 2 I² r
・三相3線式: p = 3 I² r
電流が二乗で効くのが最大のポイント。電流が2倍になると損失は4倍。だから『電流を減らす』ことが損失低減の鍵です。
3. 電圧降下とセットで出る
試験では電圧降下と電力損失を同じ回路で続けて問うパターンが定番です。
例:単相2線式、r=0.2Ω、I=10A
電圧降下 v = 2rI = 2×0.2×10 = 4V
電力損失 p = 2I²r = 2×10²×0.2 = 40W
『電圧降下は I の1乗、電力損失は I の2乗』という違いを意識すると混同しません。
4. 現場のひとこと
電力損失は、電線の中で熱に化けて消える『ムダな電気代』です。
p = I²r で電流が二乗で効くから、現場の損失対策は『電流を減らす』が王道。
・力率を改善して無駄な電流を減らす(第18章)
・太い電線で r を下げる
送電線がわざわざ高電圧なのも、同じ電力なら電圧を上げれば電流が小さくでき、I²r の損失が激減するからです。
『損失=熱=お金と火災リスク』。計算の二乗は、現場では“ここを減らせばコストが下がる”という改善ポイントの目印になります。
POINT
5. ここだけは覚える
・電力損失=電線抵抗で熱になりムダになる電力
・単2/単3:p=2I²r / 三相:p=3I²r
・電流は二乗で効く(2倍で損失4倍)
・電圧降下はIの1乗、電力損失はIの2乗
・損失を減らすには電流を減らす(=力率改善・電圧UP)
次は確認問題です。