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教科書

第15章 幹線の設計

建物の太い大元の電線が『幹線』。電動機があると始動電流を見込んで割増しする計算がポイントです。

1. 幹線とは

分電盤から各分岐回路へ電気を配る、おおもとの太い電線が『幹線』です。

幹線にはたくさんの負荷の電流が集まるので、合計に耐えられる太さ(許容電流)を選ぶ必要があります。

ポイントは、電動機(モーター)は動き始めに大きな始動電流が流れること。そのぶんを割増しして計算します。

幹線から分岐回路へ
幹線から分岐回路へ

2. 幹線の許容電流の決め方(3パターン)

電動機の定格電流の合計を Im、それ以外の負荷の合計を Ih とすると、必要な幹線許容電流 Ia は:

① Ih ≥ Im のとき
Ia = Im + Ih(割増しなし)

② Im > Ih かつ Im ≤ 50A
Ia = 1.25 × Im + Ih

③ Im > Ih かつ Im > 50A
Ia = 1.1 × Im + Ih

『電動機が多いほど割増し。50A以下なら1.25倍、超えたら1.1倍』。まず Im と Ih を比べる、が第一歩です。

3. 例題

電動機の合計 Im=30A、その他 Ih=10A。

Im(30) > Ih(10) で、Im≤50A なので②
Ia = 1.25 × 30 + 10 = 37.5 + 10 = 47.5A

→ これ以上の許容電流を持つ電線を選ぶ。

手順は『Im と Ih を比較 → 該当パターンの式に入れる』。比較を最初にやるのがコツです。

4. 幹線の過電流遮断器の定格

幹線を守る過電流遮断器の定格電流は、次の2つの小さいほうを選びます。

3 × Im + Ih
2.5 × Ia(Ia=幹線の許容電流)

電動機の始動電流に耐えつつ、電線を守りすぎない値にする、という考え方。『2つ計算して小さいほう』と覚えます。

5. ここでつまずく

幹線の許容電流 Ia は、いきなり式に入れると間違えます。必ず『最初に Im と Ih を比較』から。

・Im ≦ Ih(電動機が少ない)→ Ia = Im + Ih(割増なし)
・Im > Ih かつ Im ≦ 50A → Ia = 1.25×Im + Ih
・Im > Ih かつ Im > 50A → Ia = 1.1×Im + Ih

なぜ割増すのか=電動機は始動時に大きな電流が流れるから。理由が分かると係数も忘れません。

過電流遮断器の定格は別物で、『3×Im+Ih』と『2.5×Ia』の“小さいほう”。Ia の式と遮断器の式を混ぜないこと。『まず比較 → パターンの式 → 遮断器は別計算で小さいほう』の順を固定すれば崩れません。

6. 現場のひとこと

幹線は、建物に電気を送り込む“大動脈”です。分電盤から各部屋へ配る前の、いちばん太い基幹ルート。

ここを細く見積もると、増設や夏場のフル稼働で幹線が過熱し、最悪は建物全体に波及します。逆に電動機の始動電流を読めていないと、始動のたびにブレーカーが落ちる——よくある現場トラブル。

だから『電動機が多いほど余裕を持たせる(割増)』。計算式は、建物を止めないための安全マージンそのもの。テナント増床や設備更新の相談で、この考え方がそのまま効いてきます。

POINT

7. ここだけは覚える

・幹線=分電盤からのおおもとの太い電線
・まず Im(電動機計)と Ih(その他計)を比較
・Ih≥Im:Ia=Im+Ih
・Im>Ih, Im≤50A:Ia=1.25Im+Ih
・Im>Ih, Im>50A:Ia=1.1Im+Ih
・幹線遮断器定格=(3Im+Ih)と(2.5Ia)の小さいほう

次は確認問題です。

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確認問題で定着させると、グッと身につきます。

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