第25章 工具・測定器
鑑別問題の定番。圧着工具の色、各工具の用途、測定器が何を測るか——写真と用途を結びつけます。
1. リングスリーブ用圧着工具(最頻出)
電線をリングスリーブでつなぐとき使う専用工具。見分けるポイントは『柄が黄色』。
圧着すると○(極小)・小・中・大の刻印が付き、これで正しいスリーブで圧着したか確認できます。
重要:プライヤやペンチで代用してはいけません。必ず専用の圧着工具を使う、が試験の定番。(裸圧着端子用は柄が赤、と区別)
2. 加工工具の用途
・パイプベンダ:金属管を曲げる
・ノックアウトパンチャ:金属板(ボックス)に穴をあける
・リーマ:管を切った後、内側のバリを取る
・ねじ切り器(オスタ型):金属管にねじを切る
・ワイヤストリッパ:電線の被覆をむく
・ホルソ:金属に円い穴をあける
・手動油圧式圧着器:写真のように2本の長いハンドルで油圧をかけ、太い電線や圧着端子を強力に圧着する。リングスリーブ用(黄色柄)とは別物で、太径用
『何をする道具か』を一問一答で覚えると鑑別問題に強くなります。
3. 測定器は何を測る?
・回路計(テスタ):電圧・抵抗・導通
・絶縁抵抗計(メガー):絶縁抵抗
・接地抵抗計(アーステスタ):接地抵抗
・クランプメータ:回路を切らずに電流を測定。漏れ電流も測れる
・検電器:充電(電気が来ているか)の確認
計器の動作原理も頻出:
『可動コイル形=直流、可動鉄片形=交流』。
4. 残りの定番工具 ― 通す・張る・樹脂管
鑑別で出る工具を、最後に取りこぼしなく。
・呼び線挿入器(通線器):電線管に電線を通すための『呼び線』
・張線器(シメラー):写真のように赤いハンドルのクランプ+ワイヤー+ラチェット機構で構成。架空電線をピンと張ったり、たるみを調整する
・トーチランプ:合成樹脂管(VE)を加熱して曲げる
・面取り器:VE管の切り口をなめらかにする
・ウォータポンププライヤ:ロックナットなどの締付け
『通す=呼び線挿入器/張る=張線器/樹脂管を曲げる=トーチランプ』。用途とセットなら写真でも一発で選べます。
5. 鑑別ピックアップ:使わない工具を見つける
配線図問題の最後に出る『この工事で使わない工具は?』の鑑別。工事に使う管種・ケーブル種と工具を照合します。
・イ=リングスリーブ用圧着工具(柄が黄色):電線接続の必須工具
・ロ=合成樹脂管用カッタ(塩ビカッタ):VE管(硬質塩化ビニル電線管)の切断専用。2階部分でVE管が使われていない場合は出番なし=この問題の正解(使わない)
・ハ=Fケーブル用ストリッパ:VVFケーブルの外装・絶縁被覆を剥く専用工具
・ニ=電工ナイフ:VVFやIV線の被覆除去・切断など汎用
『管種・ケーブル種に合わない工具=使われない』。工事の内容(VVF屋内配線かVE管工事か)を読み取って判定します。
6. 鑑別ピックアップ:手回しドリル(弓ぎり)
電動ドリルが普及する前から使われる手回しドリル(弓ぎり)。今でも狭い場所・電源がない現場で活躍します。
見た目の特徴:
・U字(弓形)のフレーム
・上部の赤い木製ハンドルを回して刃を回転
・下部にチャック(刃をくわえる部分)
用途:リーマと組み合わせて、金属管の面取り(管端のバリ取り)に用いる。リーマ(管内側を削る刃)をチャックにくわえて、弓ぎりを回転させると、切断した管端の鋭いバリが除去され、電線の被覆を傷めない安全な切り口になります。
『弓ぎり+リーマ=金属管の面取り』が頻出パターン。ホルソ・羽根ぎりなどとの組合せ(穴あけ用途)と混同しないように注意。
7. 鑑別ピックアップ:太径ケーブル接続の工具
ボックスに引き込まれた電線がIV14・CV14-3C(断面積14mm²)の太い電線の場合、リングスリーブは使えないという問題。
・イ=リングスリーブ用圧着工具(柄が黄色):リングスリーブは8mm²までの細い電線用。14mm²の太い電線には使えない=この問題の正解(使わない)
・ロ=ケーブルカッター:ケーブルや電線を切断(接続前の長さ調整に必須)
・ハ=電工ナイフ(木柄折りたたみ):VVF・IV線の被覆をむく
・ニ=手動油圧式圧着器:太い電線を圧着端子に圧着する太径用工具。14mm²の接続には必要
『リングスリーブ=8mm²まで/それ以上の太径は手動油圧式圧着器+圧着端子』。電線の太さで工具を選ぶのが鉄則です。
8. 鑑別ピックアップ:VE管工事の工具
VE管(硬質塩化ビニル電線管)の加工に使う標準セットを覚える。使わないもの=配管工の道具=パイプレンチ。
・イ=パイプレンチ:金属管同士のねじ込み接続を強く回す配管工の工具。VE管工事には不要=この問題の正解(使わない)
・ロ=合成樹脂管用カッタ:VE管を適切な長さに切断する専用工具。赤い握り
・ハ=面取器:VE管の切断面の外周と内周を軽く削って面取り。白い円錐内側にスポーク状の刃
・ニ=トーチランプ:VE管を加熱して曲げやすくする。青いタンク+バーナー
VE管工事の3点セット=カッタ(切る)+面取器(バリ取る)+トーチランプ(加熱して曲げる)。金属管用のパイプレンチは出番なし。
9. 鑑別ピックアップ:漏れ電流を測れる測定器
『漏れ電流測定=クランプ形の漏れ電流計(クランプメータ)』。回路を切らずに測れるのが強みです。
・イ=クランプメータ(クランプ形漏れ電流計):大きな円形の開閉式コアが特徴。電線を挟むだけで電流・漏れ電流を測定=この問題の正解
・ロ=アナログテスタ(回路計):電圧・抵抗・導通を測る万能選手。漏れ電流は測れない
・ハ=検電器(ペン型):黄色いペン型=充電(電気が来ているか)の確認専用。電流値は測れない
・ニ=メガー(絶縁抵抗計):絶縁抵抗を測定。漏れ電流とは別物
『円形コアで電線を挟む=クランプメータ/ペン型=検電器/大きなダイヤル=メガー』。形のクセを覚えれば一発で見分けられます。
10. 現場のひとこと
工具と測定器は、ビルメンの“手の延長”です。鑑別(写真で答える)が多いのは、現場で必ず手に取るから。
測定器は『何を測るか』とセットで体に入れる:
・テスタ → 電圧・抵抗・導通(まず使う万能選手)
・メガー → 絶縁抵抗(停電させて測る)
・アーステスタ → 接地抵抗
・クランプメータ → 線を挟むだけで電流/漏れ電流(活線のまま測れるのが強み)
・検電器 → “電気が来てるか”の確認。作業前の安全確認で命を守る道具
リングスリーブ用圧着工具(柄が黄色・刻印が出る)は毎年のように鑑別で出る最頻出。『この道具で何をするか』を一問一答にしておくと、写真を見た瞬間に答えが出ます。
POINT
11. ここだけは覚える
・リングスリーブ用圧着工具=柄が黄色(最頻出)
・圧着はプライヤ不可、必ず専用工具
・パイプベンダ=管曲げ/リーマ=バリ取り
・クランプメータ=回路を切らず電流測定
・可動コイル形=直流、可動鉄片形=交流
次は確認問題。第3部の総仕上げです。