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教科書

第9章 三相交流回路

工場やビルの動力は『三相交流』。スター結線とデルタ結線、線間電圧と相電圧の関係を、図でつかみます。

1. 三相交流ってなに?

単相が1本の波なら、三相はタイミングをずらした3本の波の組み合わせ。

メリットは『大きな力を効率よく伝えられる』こと。工場の機械、ビルの大型ポンプや空調など、パワーが要る動力は三相が使われます。

家庭は単相、業務用の動力は三相、とざっくり分けて覚えるとよいです。

2. スター結線とデルタ結線

三相のつなぎ方は2種類です。

・スター結線(Y/星形):3本を1点で結ぶ。中性点ができる。
・デルタ結線(Δ/三角):3本を三角形に結ぶ。

形がそのまま名前になっているので、図のイメージで覚えると混乱しません。『Yは星・中性点あり』『Δは三角』。

Y結線とΔ結線
Y結線とΔ結線

3. 線間電圧と相電圧(Y結線とΔ結線)

三相には2つの見方があります。
・相電圧/相電流:部品1個ぶんの値
・線間電圧/線電流:電線(端子)で測る値

■ スター結線(Y)
線間電圧 = 相電圧 × √3
線電流 = 相電流(電流はそのまま)
例:相電圧200V → 線間電圧 ≒ 346V

■ デルタ結線(Δ)
線間電圧 = 相電圧(電圧はそのまま)
線電流 = 相電流 × √3

覚え方:『Yは電圧が√3倍、Δは電流が√3倍』。ちょうど電圧と電流が逆の関係になっています。この√3の使い分けが超頻出です。

4. 三相電力の計算

三相回路全体の電力は、結線がY・Δどちらでも同じ式で求められます。

三相電力 P = √3 × 線間電圧 V × 線電流 I × 力率cosθ

(単相の P=VIcosθ の頭に √3 が付くイメージ)

例:線間電圧200V、線電流10A、力率0.8
P = √3 × 200 × 10 × 0.8
≒ 1.73 × 200 × 10 × 0.8 ≒ 2768W

√3 ≒ 1.73 を使う計算は試験頻出。『三相は頭に√3』とだけ押さえれば対応できます。

5. ここでつまずく

Y と Δ、『どっちが電圧√3倍で、どっちが電流√3倍か』——ここで全員が一度は混乱します。

形で覚えると一生忘れません。
・Y(スター)は中性点から放射状=“ワイ”。 線間は2本ぶん重なる → 電圧が√3倍、電流はそのまま
・Δ(デルタ)は三角でぐるり一周=電流が回り込む。 電流が√3倍、電圧はそのまま

合言葉は『Yは電圧、Δは電流が √3倍』。電圧と電流がちょうど逆、と対で覚えるのがコツ。

三相電力 P=√3VIcosθ は、Y・Δどちらでも同じ式。ここは結線で悩まなくていい、と知っておくと気がラクです。√3 ≒ 1.73 はそのまま暗記。

6. 現場のひとこと

三相交流は、ビルメンにとって『動力設備そのもの』です。

エアコンの室外機、給排水ポンプ、エレベーター、大型の換気ファン——建物を動かしている力仕事の機器は、ほぼ三相で動いています。単相が“家庭の電気”なら、三相は“設備の電気”。

三相は同じ太さの電線で大きな電力を効率よく送れるので、動力に使われます。点検・トラブル対応で必ず触れる世界。

計算の√3は試験のためだけでなく、『この動力盤、何kW食ってるのか』を読むときにそのまま使う数字です。現場の主役だと思って向き合うと頭への入り方が変わります。

POINT

7. ここだけは覚える

・三相=ずれた3本の波。大きな動力に有利
・家庭は単相、業務用動力は三相
・結線はスター(Y/星/中性点あり)とデルタ(Δ/三角)
・Y結線:線間電圧 = 相電圧 × √3(電流はそのまま)
・Δ結線:線電流 = 相電流 × √3(電圧はそのまま)
・三相電力 P = √3 × V線 × I線 × cosθ

次は確認問題。第1部の総仕上げです。

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確認問題で定着させると、グッと身につきます。

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