第54章 リングスリーブ圧着(技能)
技能試験で最も欠陥が出やすい作業。刻印の選定と心線処理を、手順として確実にします。
1. 使うスリーブと工具
技能試験で使うリングスリーブは『小』『中』が中心(大はほぼ出ません)。
工具は柄が黄色のリングスリーブ用圧着工具(第25章)。ダイス(圧着部)を正しい刻印位置に合わせて握ります。
第43章の選定(断面積合計で小中大)がそのまま実技で問われます。
2. 刻印の選定(最重要)
刻印は ○(極小)・小・中。
最頻出の引っかけ:
『1.6mm × 2本だけ → スリーブ“小”・刻印“○”』
スリーブの大きさと刻印が一致しない唯一のパターン。それ以外は断面積合計で小→中を選び、刻印も同じ名称。刻印を間違えると即欠陥なので、複線図の段階で書き込んでおきます。
3. 心線処理と欠陥防止
・絶縁被覆を適切な長さで剥ぐ(被覆をスリーブに噛み込ませない)
・スリーブ端から心線が1〜2mm出る程度に処理(露出が大きすぎると欠陥)
・心線をスリーブの奥までしっかり挿入
・1回で確実に圧着(ダブル圧着は欠陥)
『被覆噛み込み・心線露出過大・挿入不足・ダブル圧着』が4大欠陥。1つでもあれば不合格です。
4. ここでつまずく:圧着作業の手順とミス防止
圧着は『一発勝負』。ミスると、やり直しはスリーブを切って捨てて新しいスリーブで再圧着という重大なロスです。手順を体に染み込ませる。
①被覆を約20mmむく(VVFストリッパー推奨・速い)
②心線をまっすぐ揃える(曲がってると差し込みづらい)
③スリーブを指で押さえて電線を奥まで挿入
被覆が0.5〜1mm程度スリーブに当たる位置
④圧着工具の正しいダイス位置で1回確実に圧着
工具のダイス:○ / 小 / 中 / 大 を選び間違えない
⑤心線をスリーブから2mm程度の長さで切断
長すぎは欠陥、短すぎは接触不良
最重要:ダイス位置の選択ミスが一番多い欠陥。『1.6mm×2本=○のダイス』『1.6mm×3〜4本=小』を圧着工具の柄を見て確実に選ぶ。
工具のダイスは黄色柄の専用品なら4つに分かれていて、大きい数字ほど大きいスリーブ用。本番で迷わないよう、練習で工具の握り感まで覚えます。
5. 鑑別ピックアップ:圧着接続後の刻印と個数
配線図で『すべて1.6mm』指定のとき、1.6mm×2本の接続箇所は刻印が『○』(極小)。5箇所あれば『○』5個になります。
選択肢の見分けポイント:
・イ=小スリーブ5個・刻印『○』5個=この問題の正解
・ロ=小5個・刻印『小』5個(刻印が違う)
・ハ=小4個・刻印『○』4個+『中』1個(混合)
・ニ=小4個・刻印『○』4個(個数が違う)
判定手順:
①複線図を描いて各接続点の電線本数を数える
②1.6mm×2本=刻印『○』(極小)、それ以外の組合せ=刻印『小』『中』『大』
③配線図の接続点数と個数を一致させる
『1.6mm×2本=刻印○』が最大の引っかけ。小スリーブを使うけど刻印は『○』、というのが大きさと刻印がズレる唯一の例外パターンです。
6. 現場のひとこと
リングスリーブ圧着は、技能試験で“いちばん欠陥が出る作業”です。ここを制すれば合格がぐっと近づきます。
覚える核は2つ:
・刻印選定:1.6mm×2本=小スリーブ・刻印○(大きさと刻印がズレる唯一の例外)。それ以外は断面積で小→中、刻印も同名
・4大欠陥:被覆噛み込み/心線露出過大/挿入不足/ダブル圧着
現場では、圧着が甘いと接触抵抗が増えて発熱・火災(第6章 I²R)。刻印は“正しく圧着した証”——だから1つのミスも許されません。
コツは『複線図の段階で刻印を書き込んでおく』。手を動かす前に決めておけば、本番で迷わず、黄色柄の専用工具で一発確実に決められます。
POINT
7. ここだけは覚える
・スリーブは小・中が中心、工具は黄色柄
・1.6mm×2本=小スリーブ・刻印○(最頻出)
・被覆を噛み込ませない/心線露出は1〜2mm
・奥まで挿入し1回で圧着(ダブル圧着は欠陥)
・ダイス位置の選択ミスが最頻出欠陥
次は確認問題です。