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教科書

第8章 単相交流回路

交流の山場。リアクタンス・インピーダンス・力率の『計算』をマスターします。ここは毎年必ず出ます。

1. 交流回路の3つの部品

交流回路には3つの基本部品があります。

・抵抗 R:電気を消費する(熱・光に変える)
・コイル L:電流が電圧より“遅れる”
・コンデンサ C:電流が電圧より“進む”

直流では抵抗しか関係しませんが、交流ではコイルとコンデンサも電流の流れ方に影響します。

抵抗・コイル・コンデンサの働き
抵抗・コイル・コンデンサの働き

2. リアクタンス(コイル・コンデンサの抵抗)

コイルやコンデンサが示す『交流での流れにくさ』をリアクタンスといい、単位はΩです。

■ 誘導性リアクタンス(コイル)
X_L = 2 × π × f × L
周波数 f が高いほど、コイルは電流を通しにくい

■ 容量性リアクタンス(コンデンサ)
X_C = 1 ÷ (2 × π × f × C)
周波数 f が高いほど、コンデンサは電流を通しやすい

コイルとコンデンサは“逆の性質”。『コイルは周波数が上がると通しにくい、コンデンサは通しやすい』とセットで覚えます。

3. インピーダンス Z(交流の合成抵抗)

抵抗 R とリアクタンス X を“合わせた”交流全体の流れにくさがインピーダンス Z。

ポイントは、R と X は単純な足し算ではなく『直角三角形』で合成すること。

Z = √(R² + X²)

交流版オームの法則:
V = I × Z / I = V ÷ Z

例:R=8Ω、X=6Ω の RL直列回路
Z = √(8² + 6²) = √(64+36) = √100 = 10Ω
電源100Vなら I = 100 ÷ 10 = 10A

『3:4:5』『6:8:10』の直角三角形は試験頻出。覚えておくと計算が一瞬で終わります。

Z = √(R² + X²)
Z = √(R² + X²)

4. 力率の計算

力率とは『流した電気のうち、実際に仕事に使われた割合』。記号は cosθ。

力率 cosθ = R ÷ Z

さっきの例(R=8Ω、Z=10Ω)なら
力率 = 8 ÷ 10 = 0.8(80%)

電力の関係は『電力の三角形』で表せます。
・皮相電力 S = V × I [VA](見かけの電力)
・有効電力 P = V × I × cosθ [W](実際に役立つ)

例:100V・10A・力率0.8 の回路
S = 100 × 10 = 1000VA
P = 100 × 10 × 0.8 = 800W

抵抗だけなら力率1(100%)。コイル・コンデンサが入ると力率は1より小さくなります。

力率 cosθ = R/Z = P/S
力率 cosθ = R/Z = P/S

5. ここでつまずく

インピーダンス Z でいちばん多いミスが『単純に足してしまう』ことです。

Z は R + X ではありません。
Z = √(R² + X²) (直角三角形の斜辺)

R と X は向きが90度違うので、ピタゴラスで合成します。例:R=8、X=6 → Z=√(64+36)=√100=10。

ここで強力な時短ワザ。試験に出る三角形はほぼ決まっています。
・3 : 4 : 5
・6 : 8 : 10
・5 : 12 : 13
この比を覚えていれば、√の計算をせずに即答できます。

力率は cosθ = R ÷ Z。『R÷Z(抵抗の割合)』を、間違えて X÷Z にしないこと。迷ったら『力率は“役立つ抵抗ぶん”の割合』と思い出す。

6. 現場のひとこと

力率は、試験の中だけの数字ではなく『電気代に直結する数字』です。

モーターやコイルを使う設備は力率が悪くなりがちで、力率が低いと、同じ仕事をするのに余計な電流が流れ、電線や変圧器に無駄な負担=コスト増になります。
電力会社の料金にも『力率割引/割増』があるほど。

だから現場では進相コンデンサを入れて力率を改善します(次の第18章で詳しくやります)。『力率=お金』と結びつけて読むと、計算問題も“なぜ解くのか”が腹落ちして頭に残ります。

POINT

7. ここだけは覚える

・X_L = 2πfL(コイル)/ X_C = 1/(2πfC)(コンデンサ)
・インピーダンス Z = √(R² + X²)(直角三角形で合成)
・交流オームの法則 V = I × Z
・力率 cosθ = R ÷ Z
・有効電力 P = VI cosθ / 皮相電力 S = VI
・3:4:5、6:8:10 の直角三角形は暗記で時短

次は確認問題。計算手順を体に入れましょう。

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確認問題で定着させると、グッと身につきます。

確認問題に進む(7問)→