第二種電気工事士 ← 章一覧
教科書

第2章 直列回路と並列回路

抵抗のつなぎ方は2種類だけ。一本道(直列)と分かれ道(並列)。ここを押さえると合成抵抗の計算が一気にラクになります。

1. 直列回路ってなに?

抵抗を『一本道』につないだものが直列回路です。

電車で例えると、駅が一直線に並んでいて、どの電車も必ず全部の駅を順番に通る——これが直列。途中で分かれ道はありません。

身近な例:昔の豆電球のクリスマス飾り。1個切れると全部消えるアレが直列回路です。電気の通り道が1本しかないので、どこか1か所切れたら全部に電気が流れなくなります。

直列回路:抵抗が一本道に並ぶ
直列回路:抵抗が一本道に並ぶ

2. 直列回路の3つの決まり

直列回路には、覚えるべき決まりが3つあります。

① 電流はどこでも同じ
一本道なので、流れる電流 I はどの場所でも同じ値。

② 電圧は分かれる
各抵抗で電圧が消費され、その合計が電源電圧。
V = V1 + V2

③ 合成抵抗は足し算
R = R1 + R2 + ...
例:10Ωと20Ωを直列 → 合成抵抗は 30Ω

『直列は抵抗が増える(足し算)』とセットで覚えましょう。道が長くなるほど通りにくくなる、とイメージすると自然です。

3. 並列回路ってなに?

抵抗を『分かれ道』につないだものが並列回路です。

高速道路の料金所をイメージしてください。ゲートが何本もあって、車はどれか1本を通ればいい。ゲートが多いほど全体ではスムーズに流れます——これが並列。

身近な例:家のコンセント。テレビを抜いても冷蔵庫は動き続けますよね。それぞれが独立した分かれ道(並列)になっているからです。

並列回路:抵抗が分かれ道に並ぶ
並列回路:抵抗が分かれ道に並ぶ

4. 並列回路の3つの決まり

並列回路の決まりは、直列とちょうど『逆』になります。

① 電圧はどの枝も同じ
分かれ道のどの抵抗にも、同じ電圧 V がかかる。

② 電流は分かれる
枝ごとに電流が分かれ、その合計が全体の電流。
I = I1 + I2

③ 合成抵抗は『逆数の和』
1/R = 1/R1 + 1/R2
例:20Ωと30Ωを並列
1/R = 1/20 + 1/30 = 5/60 → R = 12Ω

重要:並列の合成抵抗は『一番小さい抵抗より必ず小さくなる』。20Ωと30Ωなら12Ω。計算後のセルフチェックに使えます。

5. 現場ではどう違う?

なぜ家の配線は全部『並列』なのか?

もし家中のコンセントが直列だったら、テレビを1台消すと家中の電気が全部止まります。そんな家、住めませんよね。

だから建物の屋内配線は必ず並列。1か所の機器を切っても他に影響しないようにしてあります。この『なぜ並列か』は筆記でも問われますし、現場で配線を理解する土台にもなります。

6. 分圧と分流

直列・並列でよく出る計算が『分圧』と『分流』です。

■ 分圧(直列で電圧が分かれる)
直列では、抵抗の大きさの比で電圧が分かれます。
R1にかかる電圧 V1 = V × R1 ÷ (R1 + R2)
例:100Vを30Ωと20Ωの直列に → 30Ω側は
100 × 30 ÷ 50 = 60V
『大きい抵抗ほど大きい電圧がかかる』と覚える。

■ 分流(並列で電流が分かれる)
並列では、抵抗が小さいほど電流がたくさん流れます。
2本並列で R1 に流れる電流は
I1 = I × R2 ÷ (R1 + R2)
(分子が“相手側”の抵抗になる点に注意)
『電流は流れやすい(抵抗が小さい)方へ多く流れる』。

7. ここでつまずく

並列の合成抵抗で、いちばん多いミスがこれです。

1/R = 1/R1 + 1/R2 まで出して、そこで止めてしまう。

1/R を出したら、最後に『もう一回ひっくり返す(逆数を取る)』。ここを忘れると答えが逆数のまま=大ハズレになります。

ラクをするなら『和分の積』。2本だけの並列なら
R = (R1 × R2) ÷ (R1 + R2)
で一発。例:30Ωと60Ω → (30×60)÷(30+60)=1800÷90=20Ω。
逆数を2回やるより計算ミスが激減します。

分流の式も注意。R1 に流れる電流の分子は『相手側の R2』。自分の抵抗を分子に置く取り違えが定番の引っかけです。

8. 現場のひとこと

なぜ家やビルの配線は並列なのか——現場目線だと一発で腹落ちします。

もし直列だったら、1個の照明が切れただけでその回路の全部が消えます(昔の豆電球のクリスマス飾りそのもの)。
並列なら、1台の機器が壊れても他は生きたまま。だからコンセントも照明も、1回路の中で並列につながっています。

点検で『一部だけ消えている/一部だけ生きている』を見たら、どこが直列でどこが並列か、頭の中で回路をたどる。この感覚が、故障箇所をすばやく絞り込む土台になります。

POINT

9. ここだけは覚える

・直列=一本道。電流が同じ/抵抗は足し算(R=R1+R2)
・並列=分かれ道。電圧が同じ/抵抗は逆数の和(1/R=1/R1+1/R2)
・並列の合成抵抗は『一番小さい抵抗より小さい』
・分圧:直列で大きい抵抗に大きい電圧。V1=V×R1/(R1+R2)
・分流:並列で小さい抵抗に大きい電流。I1=I×R2/(R1+R2)
・屋内配線が並列なのは、1か所切れても他が止まらないため

次は確認問題。間違えても解説で必ず分かるようにしてあります。

次の章へ →

確認問題で定着させると、グッと身につきます。

確認問題に進む(8問)→