第1章 オームの法則
電気のいちばん基本。電圧・電流・抵抗の関係を、ゼロから理解します。
1. そもそも電気の3つの言葉
電気を学ぶとき、最初に出てくる言葉が3つあります。難しそうに見えますが、水道で例えると一発で分かります。
・電圧(V/ボルト) … 水を押し出す『勢い』。水道の蛇口をひねる強さ。
・電流(I/アンペア) … 実際に流れる『水の量』。
・抵抗(R/オーム) … 水の通り道の『細さ』。細いほど流れにくい。
電圧が強いほど電流はたくさん流れ、抵抗が大きいほど電流は流れにくくなる。この当たり前の関係を式にしたものが『オームの法則』です。
2. オームの法則の式
オームの法則はこの1本の式だけです。
電圧 V = 電流 I × 抵抗 R
この式を変形すると、3つの形になります。
・電圧を求める: V = I × R
・電流を求める: I = V ÷ R
・抵抗を求める: R = V ÷ I
丸暗記しなくても、『V = I × R』さえ覚えれば、知りたいものを左に持ってくるだけで全部出せます。
3. 式を迷わず使うコツ
V=I×R には3つの形(V=I×R/I=V÷R/R=V÷I)がありますが、3本ぜんぶ丸暗記しようとすると本番で必ずこんがらがります。
そこで『VIRの三角形』を思い浮かべます。上に V、その下の左右に I と R を並べた三角形です。
知りたいものを指で隠すだけ。
・V を隠す → 下に I と R が横並び → かけ算で V=I×R
・I を隠す → 上の V を下の R で → わり算で I=V÷R
・R を隠す → 上の V を下の I で → わり算で R=V÷I
覚えるのは三角形の絵1枚だけ。式を3本暗記するより、『隠して読む』ほうが本番で手が止まりません。
4. 実際に計算してみる
例題:100Vの電源に、20Ωの抵抗をつないだ。流れる電流は何A?
知りたいのは電流 I なので、 I = V ÷ R を使います。
I = 100 ÷ 20 = 5A
答え:5A。
現場でも『この機器、100Vで2A流れてるから抵抗は50Ωくらいだな』といった感覚に直結します。試験のためだけでなく、点検や故障判断の土台になります。
5. 単位の「k」と「m」でつまずかない
試験でいちばん多い失点は、実は計算ミスではなく『単位の取り違え』です。
・k(キロ) = 1000倍。 2kΩ = 2000Ω
・m(ミリ) = 1000分の1。 500mA = 0.5A
例:100Vの電源に 2kΩ の抵抗をつないだ。電流は?
まず 2kΩ = 2000Ω に直してから
I = 100 ÷ 2000 = 0.05A(= 50mA)。
kΩ のまま 100 ÷ 2 = 50 とやると、答えが1000倍ズレます。『計算の前に、まず Ω と A へ単位をそろえる』——これだけで凡ミスがごっそり減ります。
6. 現場のひとこと
オームの法則は試験のためだけの式ではありません。
ビルメンの現場では、テスターで電圧と電流を測れば、その機器の抵抗が正常か異常かを その場で判断できます。
・100Vかかっているのに電流がほとんど流れない
→ どこかで断線・接触不良が起きているサイン
・やけに電流が大きい
→ 抵抗が落ちている=過熱や漏電のサイン
数字を出すだけでなく『この値はおかしい』と気づける勘の土台が、このオームの法則です。点検・故障判断の最初の一歩になります。
POINT
7. ここだけは覚える
・V = I × R (これ1本でOK)
・電圧は『勢い』、電流は『量』、抵抗は『流れにくさ』
・抵抗が大きいほど電流は小さくなる
次は確認問題です。教科書を閉じてもOK。間違えたら解説で復習しましょう。