第6章 発熱量とジュールの法則
電気を流すと抵抗は必ず熱を出します。その熱の量を求めるのがジュールの法則。電気火災や電線の発熱を理解する土台です。
1. なぜ抵抗は熱くなるの?
電気が抵抗を通るとき、エネルギーの一部が熱に変わります。電気ストーブやドライヤーはこの熱をわざと利用した道具です。
逆に、電線や接続部が想定外に発熱すると電気火災の原因になります。だから発熱量を計算できることは安全に直結する大事な知識です。
2. ジュールの法則の式
発熱量 H は次の式で求めます。
H = I² × R × t(ジュール J)
I:電流(A) R:抵抗(Ω) t:時間(秒)
注目すべきは『I の二乗』。電流が2倍になると、発熱量は2倍ではなく“4倍”になります。
現場で『電流が増えると急に電線が熱くなる』のはこの二乗のせい。許容電流を超えると危険なのはここに理由があります。
3. 熱量の単位(カロリー換算)
発熱量はジュール(J)で出ますが、『カロリー(cal)』で問われることもあります。
1J ≒ 0.24cal
(1cal ≒ 4.2J)
『ジュールに0.24を掛けるとカロリー』とだけ覚えておけば十分です。
4. 湯沸かし問題の解き方(頻出)
電気でお湯を沸かす問題は毎年のように出ます。考え方はシンプルで、
電気が出した熱 = 水を温めるのに必要な熱
この『つり合い』で解きます。
水を温める熱量は、
Q = 4.2 × 水の量(L) × 上昇温度(℃) [kJ]
(水1Lを1℃上げるのに約4.2kJ)
一方、電気が出す熱量は
Q = 電力P(kW) × 時間t(秒) [kJ]
例:1kWのヒーターで2Lの水を10℃上げる時間は?
必要な熱 = 4.2 × 2 × 10 = 84kJ
1kW = 1kJ/秒なので 84 ÷ 1 = 84秒
実際にはロスがあるので『効率』が問題に出たら 必要な熱 ÷ 効率 で電気側を増やします。
5. ここでつまずく
発熱量 H = I²Rt で失点する原因は、ほぼこの2つです。
① 時間をそのまま分で入れる
t は『秒』。1時間なら 3600 をかける。『1時間 → 3600秒』の置き換えを忘れると桁が狂います。
② 電流の二乗を忘れる
I は二乗で効く。電流が2倍なら熱は4倍。I をそのまま掛けてしまうのが定番ミス。
特に過去問の超定番が『接続点の接触抵抗0.2Ωに15Aが1時間』のタイプ。
H = 15² × 0.2 × 3600 = 162000J = 162kJ
二乗と3600秒、この2つさえ外さなければ確実に取れます。
6. 現場のひとこと
ジュールの法則は、ビルメンにとって『火災・事故の前兆を読む式』です。
接続がゆるむと接触抵抗が増え、そこに電流が流れるとH = I²Rt で局所的に発熱します。端子のゆるみ・差し込み不足が、焼損や火災の入口。
だから現場では、ねじ端子の増し締めや、コンセントの焦げ・変色・熱の点検をします。『なぜ増し締めが大事か』の理屈が、まさにこの式。
サーモ(赤外線温度計)で異常な発熱箇所を見つけるのも、I²R が頭にあるからこそ『ここはおかしい』と気づけます。
POINT
7. ここだけは覚える
・発熱量 H = I²Rt(単位J)
・電流は二乗で効く=2倍で熱は4倍
・1J ≒ 0.24cal(1cal ≒ 4.2J)
・湯沸かし:4.2×水量(L)×上昇温度 = 電力×時間
・効率が出たら『必要な熱 ÷ 効率』で電気を増やす
次は確認問題。『二乗』と『湯沸かしのつり合い』がカギです。